「目からウロコのコーチング~なぜ、あの人には部下がついてくるのか?~」とは、2008年にPHP研究所から発行されました。著者である播磨早苗(はりまさなえ)はコミュニケーション心理学、自己表現、コーチングを学び、2001年に(株)フレックスコミュニケーション代表でその株式会社を設立された方です。
「ふじだい」が、どくだんとへんけんで勝手に評価しています。
私は現在、役職のある立場でサラリーマンをしております。当時は、部下に任せるべき仕事まで自分自身で抱え込んでいたため、「部下を教育する時間を作れない、どう教育してよいのかも分からない」状況でした。そんな中、上司から「忙しくても自分の業務だけでなく、職場全体が成長できるように考えて行動してください。」と言われました。今回、紹介するコーチングの本は、今の職場で15年以上働いていますが、「このような視点で自分をコーチングされていたら、自信をもって前向きに取り組むことができただろうな。」と実感できる内容でした。ひとりでも多くの方に実践してもらいたいと感じたため、紹介させてもらいます。
本の目次
はじめに
1.コーチングとは何か<注目される背景>
2.部下を伸ばすコーチング
3.聴くことを受け入れること
4.承認<褒めることと𠮟ること>
5.Iメッセージの力
6.聴くことと信じる能力
7.コミュニケーションから生まれるエネルギー
8.ペーシングはコミュニケーションの入口
9.コーチングを妨げているもの
10.達成目標のビジュアライズ
11.質問をクリエイトする
12.コーチングにおけるアドバイス
13.エネルギーロスを自覚する
14.コーチングのストラクチャー(構造)
15.相手を人生の主人公にする
おわりに
- コーチングスキルの基礎知識が学べる
- 実践手順が明確になる
- 最低限の気を付けるべきポイントが理解できる
この解説では、上記のポイントをおさえることに重点をおいていますので本書の流れとは異なります。あくまで、「ふじだい」目線での内容になりますのでご了承ください。
コーチングとは何か?
コーチングとは
コーチングとは、会話によって相手の優れた能力を引き出しながら、前進をサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキル
引用元:目からウロコのコーチングP25
コーチングとは、コミュニケーションスキルのことです。こちらの質問に対して、相手が出した答えがその人の優れた能力と解釈します。そして、実際に具体的な行動に移してもらいます。コーチが相手に答えを教えたり、アドバイス、誘導しないという点をまずは押さえましょう。
自分で答えをみつけるとうれしくて「やってみよう。」とやる気がでますよね!答えを引き出すのがコーチングなんですね!
こちらから「〇〇した方がいいんじゃない?」と、ついアドバイスしちゃいますね。
ティーチングとは
ティーチングの定義
ティーチングはその名の通り、先生が生徒に授業を行うように経験豊富な人が、経験が浅い人を相手に自分の知識やノウハウを伝える手法です。ティーチングにおけるコミュニケーションのスタイルは、指導者から指導を受ける側への一方通行となります。
引用元:Schoo for Business
コーチングとティーチングの大きな違いをひとことで言うと、考えてもらうか(コーチング)、教えてあげる(ティーチング)の違いです。
指示・命令とは
他にも誤解されやすい表現で指示・命令があります。こちらは、一方的に相手に対して「〇〇しなさい。」と伝えることになります。そのため、ティーチングよりも強い表現になります。指示・命令はこちらの考えを押し付ける強い印象を与えるため、萎縮したり、反発を招きがちになります。さらに、自ら「やってみよう!」といった自発的な行動につながらないため、やらされていると受身的になってしまいますので十分注意してください。何でもかんでも100%コーチングが良いと断言するのではなく、相手の状況に応じて使い分ける必要があります。
ついつい、やってほしいことを口に出してしまいますよね…気を付けます。
実践前に必要な精神的基盤
みなさんも心当たりはあると思いますので、ここでは簡単に説明しますね。
- 夜更かしして、朝の目覚めが悪く集中力がない
- 朝ごはんを食べる時間がなくてお腹がすいてイライラしてしまう。
- 友達とささいなことでケンカして、仲直りしたいけどどう話したらよいか考え中。
- 来月までに提出しないといけない資料があるけど、なかなか取りかかる一歩が出ない。
他にも挙げれば山ほどありますが、上記のようなこと一つは当てはまりませんか?このように身体的な疲れではなくて情緒的(精神的)な疲れが原因で上手く発揮できない理由になります。これを精神的基盤といいます。コーチングを実践する前に、1つでも減らして取り組むことが重要です!
私もついつい、スマホに夢中で夜更かししてしまいます…
コーチングスキルを解説
コーチングを最も短い文章で表現するならば、「相手の話を聞く、話を受け入れる、そのあと質問する。」これだけです。ただ、これだけが本当に難しいです。以下に解説していきます。
話を聞く
「とにかく、ただ聴いてほしい」と私たちは願っています。そして、「聴いたよ」と「共感をもって受けとめてほしい」のです。アドバイスがなくとも、それだけで満足なのです。
引用元:目からウロコのコーチングP109
話を聞くということは、相手の話を途中でさえぎらないことです。相手が話をしている途中でこちらが話してしまうと「聞いてもらえない。」と思い、それ以上は本音を語ってもらえなくなります。そうすると、相手は安心して会話を続けることができなくなります。ポイントは相手の話を100%最後までさえぎらずに聞くことです。それで相手は本心を話してみようかなと思えることができます。
コーチングを実践する前に日頃の関わりから信頼関係を築くことが1番大切ですよね。
話を聞くスキルのひとつである、ペーシングという言葉はご存じでしょうか?
ペーシング
会話で、相手の話の速度、声の大きさ、表情などに合わせて話すこと
引用元:weblio辞書
ペーシングとは、非言語的コミュニケーションスキルのことです。あなたも興味がある話は身を乗り出して、あいづちを打ちながら聞きますよね。逆に関心がない話であると心が伴っていないため、相手の顔をみて話を聞かなかったり、返事のトーンが低く、単調になったりと無意識のうちに自然と態度に出てしまいます。適切に行うことで相手の話を真剣に聞いてる印象を与えることができます。
受け入れる
- 復唱すること
- 要約すること
- 信じること
- 相手が出した答えが30点であっても、修正しないこと
1.復唱することは相手が、自分の話をきちんと聞いてくれていると安心感をもつことができます。
2.要約することは、相手の頭の中がゴチャゴチャにちらかっている状態が整理されて頭がスッキリされます。すると、自然と相手は答え探しを始めていきます。どのように解決していこうかと考えだすと沈黙が生まれます。この沈黙が重要になります。答えに行き着いたときは一人で考えていた時になかった「前進」が生まれます。
3.信じることは、相手に「答」があることを信じるということ。信じれなくなると、アドバイスしてしまいます。
4.コーチが100点のアドバイスをしても、相手が「やらされている。」と感じてしまうと前向きに行動を起こさなくなるため、20%の結果しか出ないかもしれません。一方で、自分が出した30点の答えであったとしても、答えに向かう途中で新たな発見があれば50%の出来になる可能性も十分にひめています!
コーチングにおいて「答を相手はもっている」という場合の「答」とは、あらゆることに対する「正解」である必要は、まったくありません。
引用元:目からウロコのコーチングP123
質問する
質問する上での注意点を4つの項目に分けて説明します。
誘導してはダメ
コーチの答えを誘導する質問になってはいけません。
この違いは分かりますか?×の場合は「人に頼らずに」とコーチの意図があり、誘導していることになります。意識しないと、つい誘導する質問になってしまうため、注意してください。
にせもの質問をしてはダメ
にせものの質問とは裏の意味が含まれます。
×は裏の意味でいうと「なぜ、クレームを出したんだ。」と追及していることになります。
アドバイスをしてはダメ
基本的には、アドバイスは行いません。理由は、相手の「答」を出すことをじゃましてしまうからです。信じる能力が少ないと、ついアドバイスをしたくなります。ただし、アドバイスを行ってよい場合もあります。
それは、
アドバイスが必要かもしれない、と思ったら「何か、サポートできることはありますか?」とか、「知りたい情報があったら、何でもお聞きください」と提案するのがコーチのやり方なのです。
引用元:目からウロコのコーチングP222
相手の話をすべて聞いた上で相手が必要と感じてた場合にかぎってアドバイスは有効に働きます。
アドバイスをすると気持ち良くなるからついしたくなりますよね。
気持ちが良いと感じるということは、自分が気持ち良いと感じているため、相手は気持ちよくはありません。相手が気持ち良いと感じるときというのは、自分で「答」を発見したときです。相手目線がとても重要です。
どうしても口をはさみたくなったら
話がどうどう巡りとなったり、グチの話ばかりで本当の問題にたどり着けないことがあります。
そんなときは、
「君のやり方で考えられるメリットとデメリットは何か、一緒に考えてみよう」「この状況を継続すると、どんなふうになるだろう」
引用元:目からウロコのコーチングP210.211
このように質問してみてください。ここで、気をつけるポイントはコーチの答えに誘導しないように質問することです。
コーチングの手順
転記元:目からウロコのコーチングP244
1.目標設定
最初は、具体的な目標設定を決めることから始めます。まずは長い目でみた長期目標(目安は1年以上)を設定します。その上で、2週間から1か月程度の短期目標を決めます。
目標を設定するにあたり、以下の点を意識してください。
- Goalを明確にすること
- 達成した時の状況を映像化すること
- コーチが目標を決めないこと
1.は数値化することが望ましいです。できない場合は、コーチと相手がGoalを達成できたか判断できるような具体的にイメージしやすい内容を設定してください。
2.は目標を達成している瞬間をなるべく詳細に映像化するようにしてください。
3.そもそもコーチが目標を設定してしまうと「コーチの言うようにしなければならない。」「やらされている。」と認識してしまうため、NGです。表面上の目標ではなく、本当の目標設定を決めるには時間がかかることがよくあるため、1度のコーチングで決まらないことも多くあります。
2.現状の把握
現状の把握が、目標達成と問題解決の第一歩になります。
コーチングをしていて、どうも行動に結びつきにくい、という場合があります。その場合は、目標設定か現状把握を誤っていることがあります。「今どこにいるのか」「そこと目標との距離感を見誤っていないか」を「なりたい状況(目標)ー現状=取り組むべき行動」の算式にもう一度もどって「どこを正しくとらえなおす必要があるのか」確認します。
引用元:目からウロコのコーチングP251
今の現状を正しく認識してもらうことは取り組むべき行動を明確にするためにとても大事ですね。
3.原因
ここでは、「本当の問題は何か」を明確にすることが重要です。周囲への不満や悪口ではなく、自分自身に目を向けてもらうことを意識します。
自分自身に目が向かない場合は以下のように質問してみてください。
「核心からそれている気がしますけど、このまま話を続けますか?」「この話をしていて、気分が暗くならないですか?」「行動プランまで話を進めるということでしたが、この話はそれにとって価値のある話ですか?」などです。
引用元:目からウロコのコーチングP253
どうしても人はグチをこぼしがちになりますよね…私も気を付けます。
4.行動
モノ、金、時間、情報、人脈、過去の成功体験など、目標達成のための使えるものをあげてください。
引用元:目からウロコのコーチングP255
上記の資源をできるだけ多く利用して行動することが大切です。行動を起こすためにたくさんのアイデアを考えてもらうことを行ってもらいます。その上で、特に優先順位の高いことに意識してもらうことが重要です。
資源ってたくさんあるんですね!ひとそれぞれ、資源は異なりそうですね。
5.フォロー
具体的な日時を言語化することで、状況は一歩進んだといえます。やる意志を確認し、確実にそれが行われるように随時サポートすることが重要です。
引用元:目からウロコのコーチングP259
具体的な日時まで指定することが大切です。もし、行動に問題があった場合は、その原因を取り除く方法を考えるように進めましょう。
まとめ
コーチングとは、「話を聞いて」「受け入れて」「質問する」ことです。どうしても始めはアドバイスをしがちですが、そこをグッとこらえて答えを出すまで「だまって待つ」ことが重要です。ここで紹介した内容は、ほんの一部です。この内容だけで実践してみると分かると思いますが、必ず壁にぶつかってしまいます。「実践してみたけど、上手くいかない…」「まだ、実践するとなるとイメージできない。」など、もっと詳しく掘り下げて学びたい、いろんな事例を参考にしてイメージを膨らませたいという方は本書を手にとってみてください!
この本はコーチングに関する私のバイブルです。
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